ゾンビとUnity

ゾンビネタとUnityでのゲーム制作について綴るブログです。

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開かない襖

いつも通り、仕事から帰って来た
いつも自宅に着くのは日付が変わった後
朝もそれなりにゆっくりなので、きついということはなかった

親と同居していて、自分の部屋は四畳半の和室
襖を開けて入る
襖は左右二枚になっていて、どちらからも開けられるようになっている

親はとっくに寝ているので、できるだけ物音を立てないように自室へ向かう
電気は全て消えているので、玄関の灯りを点けて、それを頼りにした
自室の方を見ると、襖の隙間から灯りが漏れてる
襖は完全に閉まってる

「あれ?変だな…。」

両親も働いていて、二人共朝は早い
だから、最後に家を出るのは自分になる
戸締り、電気、ガスをきちんと確認してから、家を出るのが習慣になっている
それから、自室の襖は、必ず片方を完全に開けた状態で出ることにしている
私が家にいるのかいないのか、すぐに分かるという配慮

親が何故か私の部屋にいて、襖を閉めきっているっぽい

「何だろう?珍しいな…。」

母親が私の部屋の押入れに、色々と物をしまっているので、それを引っ張りだしているのかと思った
でも、そういう時はいつも、片方の襖を開けっ放しで作業している
それに、深夜に押入れから何を出そうとしているんだろう
親にとって重要なものは、全て親の部屋にあるはずだし…

首をかしげつつ、襖に手をかけて開けようとした

開かない

何か突っかかってるのか?と思い、何度か開けようとするけど、開かない
もし仮に、向こう側でつっかい棒をしてるなら、襖を引いた時に襖は少し傾いて、つっかい棒に当たってそこで止まる
少なくとも、襖はわずかにでも動かないとおかしい
ぴったりと枠に嵌めこまれているかのように、まったく動かない
有り得ない

今になって思えば、反対側からも開けられるんだから、反対側の襖を開ければ良かったのにと思う
その時は何故か、それすら思いつかなくて、何度も何度も同じ襖を力任せに開けようとしてた

仕方がないので、部屋の中にいるであろう親に声をかけることにした

「ねぇ…。」

と、言った瞬間にガッ!と肩をつかまれた

「!!?」

振り返ると、見たこともない男がいた
顔はぼやけていて、目、鼻、耳、輪郭は良く分からないが、口だけがはっきりとしてる
髪型は覚えていない
体型や着ていた服も覚えてない
多分、異様な顔に意識が行ってしまって、見てなかったんだと思う
でも、何故か男だというのは分かった

「開けてはいけない。開けたら二度とこちら側には戻れない。」

このとき、どういうわけか、男が言った言葉に何も疑問を持たなかった

「いや、俺の部屋だし。」

そう言って襖を引こうとしたら、肩をつかんでる男の手に力が入った

「開けてはいけない!開けたら二度とこちら側には戻れない!」

語気が強くなった

「だって、俺の部屋なんだから、開けて入らないと明日の支度もできないでしょ?」

男が両手で私の両肩をつかんで来た

「開けてはいけない!!!開けたら二度とこちら側には戻れない!!!」

ものすごい力で私の肩を押さえつけてくる
でも、何故か痛いという感覚はない
すごい力で肩を圧迫されている感覚があるだけ

「分かったから。とりあえず、先に風呂に入るから。」

そう言うと、男は消えた

目が覚めると、湯船の中だった
風呂で湯船に浸かっているうちに、うたた寝をしたようだ
さっきのおかしな出来事は、全て夢だと分かっているのに、気になって体を洗わずに風呂から出てしまった

脱衣所からすぐに自室が見えるので、「まさかなぁ…」と思いながら、脱衣所のカーテンをずらした
襖は閉め切っていて、隙間から灯りが漏れてる

「いやいや…ちょっと待て。」
「俺は帰ってきて部屋の電気を点けて、風呂に入るためにバスタオルとパンツをとって、電気を消すのを忘れて部屋の襖を閉めた。」
「それだけ。あれは夢だったし。」

脱衣所を見ると、バスタオルも着替えもない…

脱衣所から部屋までは、歩いて2~3歩なので、体を拭かずに濡れたまま部屋の襖の前に立った
夢の中の奇妙な男の言葉が気になって仕方がない
でもあれは夢だったんだし、あるわけない、馬鹿馬鹿しい

襖の取っ手に手をかけて力を入れる

開かない
いくら力を入れても開かない
反対側の襖なら開くかもしれないと思い、反対側の襖を開けようとした
こっちも開かない

意味が分からない
実は襖なんかなくて、壁に襖の絵を描いただけなんじゃないかと思えてくる
微動だにしない

もういい、こうなったら仕方ない
襖を破ろう

勢いをつけて、襖を殴ろうとしたら、ガッ!と後ろから肩を掴まれた
振り返ると、夢の中に出てきた男が立っている

「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」
「そんなに向こう側へ行きたいのか?」

ずっと同じ質問を繰り返してる

「いや、だって、俺の部屋なんだから…」

気が付くと、いつも通勤で使っている電車の中だった
座席に座って寝てしまったようだ

「はぁ…これもまた夢なんだろ?」

思わず独り言をつぶやく
ハッ!として周りを見たけど、誰もいない
良かった、誰もいない
なんて思って、ホッとはしたけど、どうして電車に乗っているのかが分からない

仕事帰り?
通勤途中?
何処かに出かける最中?

ポケットからケータイを取り出して時間を確認した

0時45分

有り得ない
終電はとっくに終わってる

それより、他の客がいないのもおかしい
他の車両を覗くと、2両先くらいに男が立ってるのが見える
男はドアにもたれかかって、腕組みをしながら俯いてる

とりあえず、近くに行ってみよう
ん?
近くに行って、どうする?
これが夢じゃなかったとして、あの人に話しかけるのか?
何て?

とりあえず、時間を聞こう
俺のケータイが壊れてるのかも知れないし

線路がゆるやかに蛇行しているようで、電車もそれに合わせて右に左にと揺れる
歩きにくい
近づくにつれて、その人の身なりがはっきりとしてくる

スーツを着た50代くらいの、どこにでもいそうなオッサン
俯いているので、顔がはっきり分からない

違う

はっきり分からないんじゃなくて、顔全体がぼやけてる
口だけがはっきり見える

「夢だ。これ絶対夢だ。」

そのオッサンの前まで行くと、オッサンは急に顔を上げて、唯一はっきりと見える口をモゴモゴさせた
口は動いているのに、声が聞こえない

「え?え?」

困惑していると電車のアナウンスが入った

(激しいノイズ)はー(激しいノイズ)てー(激しいノイズ)した

ノイズがうるさくて聞き取れない
同じアナウンスが何度も何度も繰り返し流れた
どうも、オッサンの口の動きとアナウンスが連動してるらしい

「何で同じ事を何回も言うの?」

何とか聞き取ろうと、耳に集中し続けた
回数が増えていくにしたがって、少しずつノイズが弱くなる

わ…はーで…れてー…ました
わた…はーで…し…れてー…ました
わたしはーで…し…に…かれてー…にました



わたしはーでんしゃにひかれてーしにました

何となく分かった
このオッサンは電車に轢かれて、顔が潰れて死んだんだ
だから、顔全体がぼやけてるんだ
0時45分はオッサンが死んだ時刻
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